Our
Chemistry,
Dear Future
役員インタビュー

包容力とシナジーで、
新しい価値を生む会社。

Capacity and synergy, building new value.
農業・医療・工場・半導体を表す写真コラージュ 農業・医療・工場・半導体を表す写真コラージュ
Speaker Profile
山口登造専務執行役員の正面ポートレート 山口登造専務執行役員の正面ポートレート
山口 登造(やまぐち たかなり)
住友化学株式会社 取締役 専務執行役員。1991年入社後、研究所・石油化学部門・工場・情報電子部門・偏光板事業部など多様な領域を歩んできた。現在は、研究企画・DX推進・知的財産・各研究所統括などの幅広い分野を担当し、社内ベンチャーの立ち上げなども積極的に推進している。
住友化学の現状とこれから
/Present and Future
住友化学は「脱皮」の真っただ中にいる
――幅広い分野を見ていらした山口さんですが、今、住友化学という会社の現状をどう捉えていらっしゃいますか。
住友化学は、今まさに「脱皮」の時期にある会社だと思います。私が入社した1991年頃までは日本経済が成長していた時代でしたので、上司の指示に従ってきちんと仕事していれば会社も自然に成長できた時代でした。
しかし今は状況が大きく変わっています。特に製造業は、その延長線上にとどまるのではなく、そこから脱皮、すなわち自ら変革に踏み出さなければなりません。住友化学も、これまで築いてきた社風や文化のうち、大切に守るべきものはしっかりと継承しながら、一方で自らの殻を破って早く衣を脱ぎ、次のステージへと進んでいかなければならないと感じています。
――具体的なアクションはあるんですか?
事業のターゲットを、「環境」「食糧」「ICT」「ヘルスケア」の4つの社会課題の解決に絞ることにしました。これまでのプロダクトアウトで成長してきた時代とは異なり、社会課題を解決することで会社も成長するモデルにシフトしました。
また、取締役を部門長ではなくコーポレートのメンバーとし、横串機能を強化しました。部門だけでなく全社でチェックし、責任を負う体制にしたことで、かつての部門制の良さは活かしつつも、それだけでは十分ではなくなってきた環境に対応できるようにしています。
社会課題の解決と、自身の成長が一致する感動
――環境・食糧・ICT・ヘルスケアという4つの課題について、具体的にはどんな技術領域と方向性なのか教えてください。
日本は資源も限られ、人口も減り、国土も広くありません。その中で、エネルギーを上手につくって使う技術、限られた国土で食糧を確保できる農業技術、そして今まで治せなかった病気を治せる医療技術、こうした分野に投資し続けたいと思っています。
ヘルスケアでいえば、iPS細胞を使った再生医療がその一つです。例えば、脳幹に神経になり得る細胞を埋め込む技術によって、パーキンソン病など、再生しないとされてきた神経系の疾患に対して効果が出ています。2025年8月に再生医療等製品として条件及び期限付承認をいただき、今年、保険収載(薬価収載)もされました。われわれが開発した細胞を用いた再生医療によって、今まで機能しなかった部位が動き始める。技術者としても非常に感慨深い成果です。社会課題の解決と自社の成長が一致する、そういう投資を続けていきたいですね。
取材に応じる山口登造専務執行役員 取材に応じる山口登造専務執行役員
住友化学の文化
/A Culture of Capacity
「懐の広い会社」教授の言葉は本当だった
――世の中から見た住友化学のイメージと、ご自身が見ている会社にギャップはありますか。
住友化学は非常に堅いイメージがあって、あるアナリストの方には「変われない会社」と言われたこともあります。
しかし私が住友化学に入社したきっかけは、大学院の教授の言葉でした。「あの会社はな、堅く見えるけど懐が広いで~。一人や二人変なやつがいてもバレへんで」と言われたんです。当時の私は、かなり社会生活に向いていない変わり者だと思われていたので(笑)。実際に入社してみると、そのキャパシティの広さを本当に実感します。言い換えると「包容力」でしょうか。受け入れる力も変化する力もある。何よりこの私が、こうしてこういう役を担わせていただいているわけですから(笑)。
また、例えば、私の元上司は40歳ぐらいで電機メーカーから転職してきて副社長になられました。住友化学の伝統である化学技術に電機業界の文化を融合させ、新しい組立加工の文化を創り上げた方です。他にも、異業種から入社して重要なポジションで大きく活躍された方が数多くいらっしゃいます。全く違う業種の経験を持つ人が入ってきた時に、その文化を自らの文化と融合させ、新しい価値や文化を生んできた会社―それが住友化学だと思います。
役員禁止にしたら、シナジーが生まれた報告会
――住友化学の事業・技術の強みはどこにあると思いますか。
石油化学から農業・医薬まで幅広い事業を持っていることもあって、コングロマリット・ディスカウントと言われることもあります。しかし私たちが大事にしている事業間のシナジーによってコングロマリットをプレミアムに変えることができると考えています。
そのシナジーを強化する取り組みの一つとして、役員出席禁止の研究報告会があります。ある時、全社研究報告会で誰も発言しないことに疑問を持ちました。会長、社長、役員が勢揃いしていて、さらにオンラインで1,000人近い人が聴いているので、皆が発言を遠慮してしまう。しかも若い研究者の発表は、上司に事前チェックされて角が取れて面白くない。そして、その報告会の間は、住友化学全体の研究活動が半日止まってしまう。ある時「これ、変えませんか」と提案したら会長、社長をはじめ関係者が賛同してくださって、役員出席禁止の研究報告会を企画しました。
1年目は応募が39件でしたが、2年目から増え始めて、愛媛で開催した4年目の今年7月は、グループ会社(海外含む)含め115件の応募がありました。参加者は現地500人弱、Webを入れると延べ1,500人を超えました。しかも若い人同士が自由闊達に議論し、コラボレーションを模索したりして部門やグループをまたいで連携してくれています。今年は私も会場をコソッと覗きましたが、その熱量に圧倒されました。
昨年までにDXの活用も含め67件の連携が報告されました。部門やグループを横断して、若い人たちが自分たちの技術で何ができるかを自由闊達に議論してシナジーを模索する。幅広い事業・文化・技術が混ざり合う「るつぼ」の場をつくることで、コングロマリットをプレミアムにし、住友化学をもっと強くしていけると信じています。
研究室で社員と談笑する山口登造氏 研究室で社員と談笑する山口登造氏
住友化学の変革
/The Shape of Change
大企業のなかで、ベンチャーの仕事もできる
――一般的に大企業は裁量が小さいというイメージがありますが、実際はどうですか。
大きな誤解だと思います。
例えば、コーポレート部門では先進基盤技術研究所メンバーを中心に「Biondo®(ビオンド)」というプロジェクトを進めています。BIOとONDO(音頭)を組み合わせた造語で、バイオで音頭を取るという意味です。
ある研究所の若手が「積み上げてきたデータを整理してアーカイブし、辞書的に使えるようにしている」という研究報告を持ってきた時、DXを活用して「それ、ビジネスにしようか!」と盛り上がり、社内ベンチャーとして立ち上げました。CTOは管理職になったばかりの研究者、CMOは非管理職の元研究者です。グループ会社の支援も得ていますが、関係するメンバー全員がBiondo®の名刺をつくって持っています。
まだ少額とはいえ、昨年は売上予算も達成しました。住友化学全体から見ればわずかな売り上げかもしれませんが、ベンチャー1年目としては十分に手応えのあるスタートでよく頑張ったと思います。
メンバーの一人はコーポレートコミュニケーション部の協力を得てYouTubeでも情報発信しているんですが、「みかんの皮からビジネスをつくる」という動画の再生回数が40万回を超えました。
外から入っていただく方に期待するのは、われわれには見えていない「これはビジネスになる」「このアセットにはもっと価値がつくのでは」という視点です。新しい事業を一緒につくっていけることを楽しみにしています。
変革には、違う文化の目で見る人間が必要
――ご入社から現在まで変わらず大事にしてきたことはありますか。
一貫しているのは「楽しむこと」です。もちろん仕事ですから辛くしんどいこともある。でもその状況を客観的に楽しめてきたと思っています。
例えば、筑波研究所で研究を楽しんでいたところから、本社でマーケティングをする仕事に異動になったことがありました。研究を離れるということで最初はショックでしたが、やっていくうちに、研究から出た新しいものと、お客様がつくりたい事業が重なったりして「あ、これは楽しいじゃないか」と感じるようになりました。
そのあと、本社企画室への異動や、工場の立ち上げと製造部長など専門外の仕事を多く経験させていただきましたが、やってみるとどれも楽しいんですよ。
例えば、研究は少数のデータから判断するので間違えることがある。でも工場では毎日大量に出るデータがほぼ正規分布し、判断を間違えない。それが分かった瞬間に工場の仕事がすごく楽しくなりました。トップが判断を誤らないと部下も安心して取り組める。データのおかげで精神的な安心感を持って決断できました。これは今のDX活用、データドリブンな研究につながる感覚だと思います。
――研究者だからこそ、それができたわけですね。
そう思っています。その後も、担当していた工場が情報電子部門に統合され、そのまま部門の企画部長を命じられました。偏光板もレジストも知らない状態で(笑)。でも今思うのは、長くその事業にいる人は、しがらみも思い入れもあるので、どうしても守りに入りがちです。変革を進めるには、違う文化の人が入ってきて、冷静に客観的な視点で見ることが大事です。
身振りを交え語る山口登造氏 身振りを交え語る山口登造氏
これを読んでいる方へのメッセージ
/A Message to You
経営的視点でものを考える
――経営の立場になられて、現場にいた頃と違って見えるようになったことはありますか。
見えるようになったのはお金の流れでしょうか。そういう意味で、若い頃からもう少し経営的視点でものを考えられていたら良かったなと反省しています。研究所にいた時、自分が使っている研究費がどこから出て、その結果がどう会社に貢献しているのかをあまり深く考えたことがなかった。でも今の立場になると、会社のあらゆる活動に株主から預かった資本が関わり、投資効率やROICという概念で会社の活動を見ています。
少し自分の見方が変わったのは、工場に行ってからです。収率の変動が損益に直接影響する。固定費、変動費も気になる。そうすると研究費も気になる。
そういうことを研究している時からもっと意識していたら、開発方針も変わったし、もっと良いものがつくれたのではないかと反省しています。
あなたの文化のまま来てください
――中途で入社される方々に、どんな役割や姿勢を期待しますか。
私の体験からも言えるように、住友化学は個人を成長させてくれるし、受け入れるキャパシティのある会社です。ご自身がこれまでやってきたことを、全く否定しない会社ですので、自信を持って来ていただきたいと思います。
「住友化学に入ったら会社の色に染まらなければいけない」と思う必要はありません。われわれは、さまざまな意味でのダイバーシティを求めています。違う文化・違う考え・違うスキルを持った方が来てくださることで、一緒に成長していけると思っています。技術もビジネスも、そして社風も、それによって変わっていく。ぜひ安心して仲間になっていただければ嬉しいです。
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